[本]自販機の時代
―日経MJ(流通新聞)2007年6月15日号より―
鈴木 隆・著
日本経済新聞出版社・発行
日本の自動販売機の台数は、550万台と米国に次ぎ2位。ただし人口
当たりの普及度では世界一だ。他の先進国では、自販機を見かけな
い都市も珍しくない。売上総額は7兆円を超えコンビニ業界と並び
扱い商品も幅広い。
ほんの40年前、飲料は駄菓子屋や酒屋、たばこはたばこ屋、切符は
駅員が販売していた。自販機の急速な普及の裏に隠れた企業と人間
のドラマを、丹念な取材をもとに描いたのが本書だ。
現在業界首位の富士電機が背水の陣で自販機ビジネスに取り組んだ
背景には家電での失敗があったという。大阪万博で本格デビューし
た自販機を珍しげに使う消費者を前に、技術者らが「使いやすい
機械づくり」に目覚める場面は感動を呼ぶ。三菱重工業の本格参戦
と撤収をはじめ松下、三洋、サンデンなど各社の動きが立体的に描
かれ飽きさせない。
ロッキード事件関係者の登場、「白色ベンダー」問題など、社会的
事件と自販機との意外な関係も面白い。本書の底流にあるのは日本
に自販機ビジネスを確立させようともがく人々の情熱と人間くささ
だ。自販機の世界は「アウトサイダー」たちが作った、と著者。
自由と活気こそが新ビジネスを生み、企業を発展させるという視点
は企業論としても示唆に富む。
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